労務に関する疑問をQ&A方式で掲載労務Q&A

派遣法一般

派遣法における“クーリング期間”ってなんですか?

派遣法上の期間制限(事業所単位、個人単位)の通算期間がリセットされる空白期間をクーリング期間といいます。このクーリング期間は、「3ヶ月超」とされており、具体的には「3ヶ月と1日以上」の期間が必要となります。

「事業所単位の期間制限」という場合の“事業所”は、派遣先が決めてよいのでしょうか?

期間制限にかかる“事業所”は、派遣先が決めてよいものではありません。
以下の定義に従い判断します。
・工場、事務所、店舗等、場所的に独立していること
・経営の単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立していること
・施設として一定期間継続するものであること
などの観点から、実態に即して判断します。
基本的には雇用保険の適用事業所に関する考え方と同一ですので、まずは、雇用保険の適用事業所であるか否かにより、期間制限にかかる“事業所”であるか否かを判断するのがよいです。

期間制限にかかる“組織単位”とはどのような考え方でしょうか?

定義としては以下のとおりです。
いわゆる「課」や「グループ」など、
・業務としての類似性、関連性
・組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有する
などの観点から、実態に即して判断します。
例)製造部 製造課 の中に「製造1係」と「製造2係」がある場合(※係が最小単位の場合)
通常は「製造課」が組織単位となります。
※実態により異なる場合はあります。

「個人単位の期間制限」について、同一の組織単位で3年の上限を迎える派遣労働者を、派遣先において部署異動させた場合は、「異動した日」から起算して3年後を抵触日として問題ないのでしょうか?

部署異動と組織単位の変更は必ずしも同義ではありませんので注意が必要です。
例えば、組織単位が「製造課」である派遣先において、「製造課」から「品質保証課」への異動は組織単位の変更となりますが、「製造課 製造1係」から「製造課 製造2係」への異動の場合は、組織単位は「製造課」のまま変更されませんので、抵触日は従前と同日となります。

事業所単位・個人単位の期間制限の対象外となる派遣労働者とはどのような人でしょうか?

事業所単位・個人単位の期間制限の対象外となる派遣労働者は以下の人です。
・派遣元事業主で無期雇用されている派遣労働者
・60歳以上の派遣労働者

「抵触日の通知」は、具体的にいつ必要になるのでしょうか?

「抵触日の通知」は、派遣契約を締結する際、あらかじめ、派遣元事業主に対して通知することが必要となります。
例えば、2021年4月1日~2021年6月30日までの個別契約を締結しようとした場合、2021年3月31日以前に、派遣先から派遣元に対して通知する必要があります。
なお、派遣契約には「更新」の考え方がありませんので、2021年4月1日~2021年6月30日までの個別契約が終了した後、2021年7月1日~2021年9月30日までの個別契約を締結しようとする場合は、「抵触日の通知」が必要です。

「抵触日の通知」が不要になるのは、どのようなケースでしょうか?

締結予定の個別契約において、派遣労働者を以下のいずれかに限定する場合は「抵触日の通知」は不要です。
①無期雇用派遣労働者
②60歳以上の派遣労働者

事業所抵触日を延長しようとする場合に必要な「意見聴取」は、いつまでに実施する必要があるのでしょうか?

抵触日の「1ヶ月前まで」に意見聴取を実施する必要があります。
例えば、2021年10月1日が事業所抵触日の場合、2021年8月31日までに意見聴取を実施しなければなりません。

「離職後1年以内の労働者派遣の禁止」について、派遣先AのB工場で就業していた労働者Dが、同派遣先AのC工場で派遣労働者として派遣就業することは問題ないのでしょうか?

「離職後1年以内の労働者派遣の禁止」に抵触します。
禁止対象となる派遣先は、「事業所単位」ではなく「事業者(=法人)単位」で判断されます。
今回の例ですと、事業所は異なる(B工場≠C工場)ものの、事業者(=法人)は同一ですので、1年以内の労働者派遣は禁止となります。

日雇派遣の禁止」って具体的に何が禁止されているのでしょうか?

現行労働者派遣法においては、日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者(日雇労働者)を派遣労働者として派遣することを禁止しています。
雇用期間が31日以上の場合は日雇労働者に該当せず、日雇派遣に該当しません。また、一定の業務や一定の労働者等、日雇派遣の原則禁止の例外に該当する場合は、日雇派遣には該当せず、労働者派遣も認められます。

労働保険の一括手続きをしている場合、抵触日の通知も一括で良いのでしょうか?

雇用保険の適用事業所に変更があるわけではないので、雇用保険適用事業所ごとに抵触日の通知が必要となります。

派遣先として受け入れる派遣社員の社会保険の加入確認は必要ですか?

必要です。労働・社会保険に加入している派遣労働者については、派遣元事業主から送付されてくる被保険者証の写し等を確認することが必要です。

事業所が分割又は統合した場合、法人が合併した場合、別法人へ譲渡した場合、事業所抵触日と個人抵触日はどのような扱いになるか?

派遣先が事業所の統合等を行った場合の事業所単位の期間制限については、組織構成や業務内容及び指揮命令系統の変更如何にかかわらず当該派遣先の抵触日が統合先等に引き継がれることになる。複数の事業所間で統合等を実施した場合で、それぞれ抵触日が異なる場合は、その中で最も早い抵触日で統一する。
また、個人単位の期間制限については、組織構成、業務内容及び指揮命令系統により組織単位の変更の有無を判断するものであり、いずれも変更がない場合は、統合等の前の抵触日が引き継がれる。そのほか、統合等によりこれらの要素のいずれかが変更された場合でも、実質的に組織単位に変更はないとみなすべき場合は、統合等の前の抵触日が引き継がれる。

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派遣帳票

「個別契約書」に記載しなければならない項目を教えてください。(派遣先⇔派遣元)

令和3年4月1日時点での法定項目は以下のとおりです。(※★は2020年4月の追加項目です。)
① 派遣労働者の業務内容
② 業務に伴う責任の程度 ★
③ 従事する事業所の名称、所在地、派遣就業の場所、組織単位
※ 「組織の長の職名」を明記することが望ましいとされています。
④ 直接指揮命令する者
⑤ 派遣期間及び派遣就業日
⑥ 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
⑦ 安全衛生に関する事項
⑧ 苦情処理に関する事項
⑨ 中途解除に当たって雇用の安定を図るための措置
⑩ 紹介予定派遣に関する事項
※ 紹介予定派遣契約の場合は記載が必要です。
⑪ 派遣元・派遣先責任者に関する事項
※「物の製造業務」に労働者派遣をする場合、「製造業務専門派遣元責任者」及び「製造業務専門派遣先責任者」である旨を記載する必要があります。
⑫ 就業日外・就業時間外労働に関する事項
⑬ 便宜供与に関する事項
⑭ 労働者派遣契約の当事者間の紛争を防止するために講ずる措置
⑮ 派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別 ★
⑯ 派遣労働者を無期雇用派遣労働者又は60歳以上の者に限定するか否かの別
⑰ 派遣可能期間の制限を受けない業務に係る労働者派遣に関する事項
⑱ 派遣人員
※個別契約書に「派遣労働者の氏名」を入れるのはNGです。特定行為とみなされる可能性があります。
⑲ 許可番号

「派遣先への通知」に記載しなければならない項目を教えてください。 (派遣元⇒派遣先)

令和3年4月1日時点での法定項目は以下のとおりです。(※★は2020年4月の追加項目です。)
① 派遣労働者の氏名
② 協定対象派遣労働者であるか否かの別 ★
③ 無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者であるかの別
④ 60歳以上の者であるか否かの別
45歳以上の場合は45歳以上であること、18歳未満の場合は年齢
※18歳以上の場合、具体的な年齢の通知は行わないこと
⑤ 社会・労働保険の被保険者資格取得届提出の有無
(無の場合はその具体的な理由)
※無の場合の具体的な理由として、単に「適用基準を満たしていないため」、「被保険者に該当しないため」等と記載するのでは足りず、「1週間の所定労働時間が15時間であるため」等、適用基準を満たしていないことが具体的にわかる内容であることが求められます。
⑥ 性別

また、派遣元が①~⑥を通知する理由は以下のとおりです。
①:派遣労働者の特定の為
②:「比較対象労働者の賃金その他の待遇」及び、「当該情報の変更があったとき」の情報提供の内容、派遣料金に係る配慮の内容に関わる情報であり、派遣先の義務の履行に重要な情報の為
③・④:派遣可能期間の制限を受けるか否かの判断の為
⑤:社会・労働保険の適用の促進の為
⑥:労基法(年少者の就業制限、女性保護規定の適用等)・安衛法(中高年齢者についての配慮)、均等法の読替規定による適用の確保の為

「派遣元管理台帳」に記載しなければならない項目を教えてください。 (派遣元)

令和3年4月1日時点での法定項目は以下のとおりです。(※★は2020年4月の追加項目です。◎は2021年4月の追加項目です。)
① 派遣労働者の氏名
② 協定対象派遣労働者であるか否かの別 ★
③ 無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者であるかの別(有期雇用の場合は労働契約の期間)
④ 60歳以上の者であるか否かの別
⑤ 派遣先の氏名、名称
⑥ 派遣先の事業所の名称
⑦ 派遣先の事業所の所在地その他派遣就業の場所及び組織単位
⑧ 派遣期間及び派遣就業をする日
⑨ 始業及び終業の時刻
⑩ 従事する業務の種類
⑪ 従事する業務に伴う責任の程度 ★
⑫ 苦情処理に関する事項
⑬ 紹介予定派遣に関する事項
⑭ 派遣元・派遣先責任者に関する事項
⑮ 就業日外・就業時間外労働に関する事項
⑯ 期間制限のない労働者派遣に関する事項
⑰ 社会・労働保険の被保険者資格取得届の提出の有無に関する事項
⑱ 段階的かつ体系的な教育訓練を行った日時・ないよう
⑲ キャリア・コンサルティングを行った日時・内容
⑳ 雇用安定措置の内容
㉑ 雇用安定措置を講ずるに当たって聴取した希望の内容 ◎
※聴取した日付、派遣労働者が希望する措置の内容についての記載が必要です。

「派遣先管理台帳」に記載しなければならない項目を教えてください。(派遣先)

令和3年4月1日時点での法定項目は以下のとおりです。(★は2020年4月の追加項目です。)
① 派遣労働者の氏名
② 派遣元事業主の氏名、名称
③ 派遣元事業主の事業所の名称
④ 派遣元事業主の事業所の所在地
⑤ 無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者であるかの別
⑥ 派遣就業した日
⑦ 派遣就業した日ごとの始業及び終業の時刻並びに休憩時間
⑧ 従事した業務の種類
⑨ 派遣就業した場所、組織単位
⑩ 従事する業務の責任の程度 ★
⑪ 苦情処理に関する事項
⑫ 紹介予定派遣に関する事項
⑬ 教育訓練を行った日時・内容
⑭ 派遣先・派遣元責任者に関する事項
⑮ 派遣受入期間の制限を受けない業務に関する事項
・60歳以上の者か否かの別
・有期プロジェクト業務:有期プロジェクト業務に該当する旨
・日数限定業務:日数限定業務に該当する旨、1ヶ月間の業務日数、派遣先の通常の労働者の1ヶ月間の所定労働日数
・育児休業等代替:休業する労働者の氏名、業務、休業の開始・終了予定日
・介護休業等代替:休業する労働者の氏名、業務、休業の開始・終了予定日
⑯ 社会・労働保険の被保険者資格取得届の提出の有無等に関する事項
⑰ 協定対象派遣労働者であるか否かの別 ★

※派遣労働者ごとの労働者派遣期間終了後、3年間の保存義務があります。

「派遣元事業主への通知(就業状況の報告)」において通知すべき項目を教えてください。 (派遣先⇒派遣元)

令和3年4月1日時点での通知項目は以下のとおりです。(※★は2020年4月の追加項目です。◎は漏れの多い項目です。)
(いずれも「派遣先管理台帳」に記載の項目の内、)
① 派遣労働者の氏名
② 派遣就業をした日
③ 派遣就業をした日ごとの始業及び終業時刻並びに休憩時間 ◎
④ 従事した業務の種類
⑤ 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度 ★
⑥ 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業をした場所、組織単位 ◎
※①~⑥については、派遣先管理台帳とは別に、1ヶ月に1回以上、派遣先から派遣元に対して通知が必要です。

「抵触日の通知」において記載すべき項目を教えてください。 (派遣先⇒派遣元)

「抵触日の通知」において必ず記載しなければならないのは以下の項目です。
・ 事業所単位の派遣可能期間の制限に抵触することとなる最初の日

ただし、「抵触日の通知」としては、以下の項目の記載があることが望ましいです。
・ 派遣先の名称
・ 派遣先の事業所の名称
・ 派遣先の事業所の所在地
・ 「労働者派遣法第26条第4項」又は「労働者派遣法第40条の2第7項」に基づく通知である旨
・ 通知した日付

なお、必ずしも書面で通知する必要はなく、メール等での通知も可能です。

「比較対象労働者の待遇情報の提供」について、派遣先均等・均衡方式の場合と労使協定方式の場合とで、提供すべき情報に違いはあるのでしょうか?

派遣先均等・均衡方式の場合と労使協定方式の場合とでは、派遣先から派遣元へ提供しなければならない情報に違いがあります。
個別契約における「協定対象派遣労働者に限定するか否かの別」において、「限定しない」とした場合は派遣先均等・均衡方式となり、「限定する」とした場合は労使協定方式となります。
なお、「抵触日の通知」同様、個別契約を締結するにあたり、あらかじめ、情報を提供しなければなりませんが、必ずしも書面で通知する必要はなく、メール等での通知も可能です。
また、情報提供に係る書面等については、労働者派遣契約に基づく労働者派遣が終了した日から起算して「3年を経過する日」まで保存する必要があります。

「比較対象労働者の待遇情報の提供」について、具体的に提供すべき項目を教えてください。 (派遣先⇒派遣元)

【派遣先均等・均衡方式(派遣労働者を協定対象派遣労働者に「限定しない」場合)】
① 比較対象労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲並びに雇用形態
② 比較対象労働者を選定した理由
③ 比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容
④ 比較対象労働者の待遇のそれぞれの性質及び当該待遇を行う目的
⑤ 比較対象労働者の待遇のそれぞれについて、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇に係る決定をするに当たって考慮したもの

【労使協定方式(派遣労働者を協定対象派遣労働者に「限定する」場合)】
① 労働者派遣法第40条第2項の教育訓練の内容
② 労働者派遣法第40条第3項の福利厚生施設の内容
※ここで言う「福利厚生施設」とは、給食施設(食堂)、休憩室、更衣室を指します。

なお、いずれの方式の場合も、提供した情報に変更がない場合は、「○○年○○月○○日付の情報提供から変更がない」旨の書面の交付等により提供することでも差し支えないとされています。

派遣労働者に対する「就業条件の明示」として記載すべき項目を教えてください。 (派遣元⇒派遣労働者)

令和3年4月1日時点での法定項目は以下のとおりです。(※★は2020年4月の追加項目です。)
① 派遣労働者が従事する業務の内容
② 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度 ★
③ 従事する事業所の名称、所在地、派遣就業の場所、組織単位
④ 直接指揮命令する者に関する事項
⑤ 労働者派遣の期間及び派遣就業する日
⑥ 派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間
⑦ 安全衛生に関する事項
⑧ 苦情処理に関する事項
⑨ 中途解除に当たって雇用の安定を図るための措置
⑩ 紹介予定派遣に関する事項
⑪ 個人単位の抵触日
⑫ 事業所単位の抵触日
⑬ 派遣元・派遣先責任者に関する事項
⑭ 就業日外・就業時間外労働に関する事項
⑮ 便宜供与に関する事項
⑯ 労働者派遣契約の当事者間の紛争を防止するために講ずる措置
⑰ 社会・労働保険の被保険者資格取得届等が提出されていない場合はその理由
⑱ 期間制限のない業務について行う労働者派遣に関する事項

派遣労働者に対する「待遇に関する事項等の明示」として記載すべき項目を教えてください。 (派遣元⇒派遣労働者)

令和3年4月1日時点での法定項目は以下のとおりです。(※★は2020年4月の追加項目です。)
① 賃金の決定等に関する事項
② 休暇に関する事項
③ 昇給の有無
④ 退職手当の有無
⑤ 賞与の有無
⑥ 協定対象派遣労働者であるか否かの別(協定対象派遣労働者である場合には、当該協定の有効期間の終期)★

※「待遇に関する事項等の明示」については、就業条件の明示と合わせて明示することができます。

派遣可能期間の延長に係る意見聴取をする際に労働組合等に書面で通知しなければならに項目を教えてください。

次の事項になります。
・派遣可能期間を延長しようとする事業所
・延長しようとする期間
また、意見聴取の際、派遣先は事業所の派遣受け入れ以降の派遣労働者の推移・派遣先無期雇用者数の推移等の、意見を述べる参考となる資料を提供することが望ましいとされてます。

派遣先事業所単位の派遣可能期間を延長する場合の意見聴取の記録はいつまで保管すればよいか?

延長前の派遣可能期間の終了後3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければなりません。

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同一労働同一賃金

派遣元が、派遣労働者の待遇を決定するにあたり「派遣先均等・均衡方式」若しくは「労使協定方式」以外の方法によって待遇を決定することはできますか?

派遣労働者の待遇については、「派遣先均等・均衡方式」若しくは「労使協定方式」のいずれかの方式により決定する必要があり、2つの方式以外の方式により待遇を決定することはできません。

派遣法上の同一労働同一賃金に係る労使協定に記載すべき項目を教えてください。

労使協定に記載すべき項目は以下のとおりです。
① 派遣労働者の範囲
② 派遣労働者の賃金の決定事項
③ 公正な評価に基づく賃金の決定
※適切な評価方法を定めることが必要です。
④ 賃金を除く待遇の決定の方法
⑤ 段階的かつ体系的な教育訓練
⑥ その他の事項(有効期間等)
※目安として、有効期間は2年以内とすることが望ましいとされています。

派遣法上の同一労働同一賃金に係る労使協定を締結した場合、所轄の労働基準監督署への届出は必要でしょうか?

同一労働同一賃金に係る労使協定については、所轄労働基準監督署への届出は不要です。ただし、毎年度の事業報告において、事業報告書に労使協定を添付し、その内容を厚生労働大臣(都道府県労働局)に報告する必要があります。

派遣法上の同一労働同一賃金に係る労使協定の保存義務はありますか?

派遣元事業主は、労使協定を締結したときいは、労使協定に係る書面(別表等含む)を、その有効期間が終了した日から起算して3年経過する日まで保存する必要があります。
※労使協定は、必ず書面で締結する必要があります。

派遣元で締結した労使協定について、派遣先からの提示要請があった場合、必ず労使協定を提示しなければならないのでしょうか?

労使協定は、あくまでも派遣元事業主と派遣元における過半数代表者等との間で締結したものですので、必ず派遣先に提示しなければならないものではありません。
ただし、派遣元は、以下の事項につきインターネットの利用により、情報提供をする必要があります。
・労使協定を締結しているか否か
(労使協定を締結している場合には、「当該協定対象派遣労働者の範囲」及び「当該協定の有効期間の終期」についても情報提供が必要です。)

なお、派遣元事業主における事業所ごとの情報提供については、令和3年4月1日以降、原則としてインターネットの利用による提供が必要となりました。

労使協定方式において、労使協定に定めた事項を遵守していない場合や労使協定を書面で締結していない場合、適切に過半数代表者を選出していない場合における罰則はあるのでしょうか?

労使協定に定めた事項を遵守していない場合や、労使協定を書面で締結していない場合、適切に過半数代表者を選出していない場合には、労使協定方式は適用されず、派遣先均等・均衡方式が適用されます。
そのため、派遣元のみならず、派遣先も含めた適切な運用が必要となります。

派遣法上の同一労働同一賃金において、労使協定方式の場合の「地域指数」は、派遣元の事業所所在地をもとに選択してよいのでしょうか?

地域指数は「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」をもとに選択しなければならず、基本的には、派遣先の事業所所在地から地域指数を選択します。
例)派遣元事業所所在地:東京都、派遣先事業所所在地:神奈川県 の場合
派遣先事業所所在地の「神奈川県」の地域指数を選択します。

派遣元から、派遣労働者の評価を実施するにあたり、評価実施への協力要請を受けたのですが、協力しなければならないのでしょうか?

派遣先には、派遣元の行う評価等に協力する配慮義務がありますので、派遣労働者の評価の実施にあたっては、派遣元に協力することが望ましいと言えます。

※参考
【派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2 9(1)】
派遣先は…派遣元事業主が当該派遣労働者の職務の成果等に応じた適切な賃金を決定できるよう、派遣元事業主からの求めに応じ、当該派遣労働者の職務の評価等に協力するように配慮しなければならないこと。

派遣元から、派遣料金の交渉をされていますが、現状の派遣料金を引き上げることが難しい状況です。このまま交渉を断り続けてよいのでしょうか?

派遣先には、派遣料金についての配慮義務(労働者派遣法第26条第11項)がありますので、無下に料金交渉を断り続けるのは望ましくありません。
なお、派遣元から要請があるにもかかわらず、派遣先が派遣料金の交渉に一切応じない場合や、派遣元が派遣先均等・均衡方式又は労使協定方式に基づく待遇の確保に必要な額を派遣先に提示し、料金交渉を行ったにもかかわらず、派遣料金が当該額を下回る場合には、配慮義務を尽くしたとは解されず、指導の対象となり得るとされています。

労使協定方式において、派遣労働者の賃金を計算した際に、小数点の端数が生じた場合は、切り捨ててしまってよいのでしょうか?

小数点の端数が生じた場合は、切り上げる必要があります。
なお、誤った端数処理は、指導の対象となります。

例)令和3年度 一般事務員(0年):1,041円 地域指数(東京都):114.5
一般基本給・賞与等の額の計算は、
1,041円×1.145=1191.945
1円未満の端数は切り上げ
よって、1,192円 となります。

さらに、一般退職金の額を一般基本給・賞与等の6%として計算する場合においては、地域指数で計算後の切り上げた値を使用

1,192×0.06=71.52
端数は切り上げ、72円となります。
よって、1,192円+72円=1,264円 となります。

都道府県労働局が派遣元事業主に対し、「同一労働同一賃金に特化した指導」を実施していると聞きましたが、定期指導と内容は異なるのでしょうか?

定期指導と同一労働同一賃金に特化した指導とでは、その内容に若干の違いがあります。後者においては、①方式に沿った待遇となっているか否かを賃金台帳をもとに確認したり、労使協定方式の場合には、②派遣労働者の評価を適正に行っているか否かを実際の評価表等をもとに確認したり、③労働者代表の選出手続が適正に行われているか否かを選出手続の過程で使用した書面やメール文面等をもとに確認したりと、定期指導では確認されることのない、一歩踏み込んだ確認が行われます。

協定対象労働者の基準賃金の計算について賞与・手当等に相当する賃金は実際に支給した額以外を用いても良いか?

可能である。局長通達に以下の記載がある。賞与・手当等に相当する賃金については、例えば、業績に連動した手当等のように、仮に個々の協定対象派遣労働者ごとに一定額の支払いを求めることとするとした場合に、賞与・手当等としての機能や賃金体系の柔軟性が失われるおそれがあるものもあることから、「個々の協定対象派遣労働者に実際に支給される額」のほか、「直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された額の平均額」、「協定対象派遣労働者に支給される見込み額の平均額」又は「標準的な協定対象派遣労働者に支給される額」等を労使で選択することも可能である。

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安全衛生

派遣元が、派遣労働者の同意を得た上で、派遣先で実施したストレスチェックの結果を入手してよいのでしょうか?

派遣労働者の同意があれば、派遣元における結果の入手と利用は可能です。
ただし、厚生労働省Q&Aにおいては、派遣社員のストレスチェックの実施義務は派遣元にあり、本人同意を得て派遣先が実施した結果の写しなどを入手するだけでは、派遣元がストレスチェックを実施したものとはみなされず、派遣先の結果を利用する場合は、派遣元が派遣先に実施を委託して、実施費用も派遣元が負担する必要があるとされています。

特殊健康診断は派遣先と派遣元のどちらで受診させればよいのでしょうか?

特殊健康診断は、派遣先に実施義務があります。
ただし、雇用主である派遣元には、受診結果を所轄労働基準監督署に報告する義務がありますので、派遣先から結果を受領し、速やかに健康診断報告書を提出しましょう。

派遣労働者が業務中に負傷し休業した場合、労働者死傷病報告書を提出する義務は派遣元ですか、派遣先ですか?

派遣労働者については、派遣元 及び派遣先 双方の事業者がそれぞれ所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出する必要があります。

派遣労働者の場合の安全管理者や産業医の選任義務は、派遣元ですか、派遣先ですか?

派遣元と派遣先にも選任義務があります。派遣社員については、派遣元と派遣先の両方で常時使用する労働者の人数に含まれます。

PC入力の作業をさせる場合、VDT作業ガイドラインでは一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10 分~15 分の作業休止時間を設けるようにとありますが、10~15分一斉に休憩を与えなければならないのでしょうか?

一斉に休憩を与える必要はありません。ガイドラインでは作業休止時間としており、モニターを見て入力すす作業以外の作業をさせれば良く、一斉の休憩は必要ありません。よって、書類の整理や机上の整理などの別作業をさせれば問題ありません。

深夜業務を派遣社員に行わせる場合、派遣先と派遣元どちらで特定業務健診を受けさせる義務を負いますか?

深夜業務従事者に対する特定業務健診については、派遣元が実施義務者となります。6ヶ月に1回、深夜業(午後10時から午前5時までの間に業務に従事)を 1 週に 1 回以上又は 1 月に 4 回以上行う方を対象に実施する必要があります。

定期健康診断は1年に1回実施すればよいか?

特定業務従事者に該当する場合は6か月ごとに1回つまり1年で2回必要になります。それ以外の業務は年1回で問題ありません。特定業務従事者には夜勤も含みますので注意が必要です。夜業を含む業務は、常態深夜業(午後10時から午前5時まで)を1週間1回以上または1ヶ月に4回以上行う業務とされています。

定期健康診断を拒否する社員に対して懲戒は可能ですか?

可能です。会社は社員に対して健康診断を実施する義務があるります。よって就業規則に健康診断を受診しない場合、懲戒をする旨定めて処分することは可能です。

常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業所では安全衛生関連の届け出は必要ですか?

必要ありませんが衛生推進者の選任は必要です。選任した衛生推進者の氏名は事業所に提示する形で周知が必要です。

安全衛生委員会の構成は事業主側より労働者側の人数が多くなくてはいけませんか?

その通り。事業主側(衛生管理者、人事担当等)より労働者側(過半数労働組合もしくは労働者代表の推薦)の委員が多いか同数である必要があります。

産業医の選任義務のない事業所ですが労働者の健康管理についての相談先はありますか?

労働者の健康管理に関する相談に対応するなどの産業保健サービスを提供している機関としては、地域産業保健センターと産業保健推進センターがあります。

休職した社員を復職する際に産業医の面談は必須でしょうか?

法律的な義務はありませんが面談をせずに復帰させて症状が悪化した場合は安全配慮義務違反になる可能性があるので可能な限り実施するのが良いでしょう。

短時間労働者が特定業務従事者健診<安衛則第45条の健康診断>の対象となる条件はありますか?

次の①と②の条件をいずれも満たす場合とされています。①6カ月以上使用されることが予定され、又は更新により6カ月以上使用されている者②その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。

特殊健康診断はいつ実施すればよいでしょうか?

原則として、雇入れ時、配置替えの際及び6月以内ごとに1回(じん肺健診は管理区分に応じて1~3年以内ごとに1回)実施が必要です。

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労働契約(締結/終了)

退職した社員が給与支払日より前に給与の残額を振り込んでほしいと請求してきました。給与支払日より前に支払う必要はありますか?

退職社員から給与振込日前の支払請求があった場合は、請求があった日から暦日7日以内に支払う必要があります。

労働者を雇入れる際に明示しなければいけない事項はなんでしょうか?

労働者を雇入れるときは、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。労働条件のうち、特に賃金に関する事項等、以下の5項目については、書面で明示する必要があります。
① 労働契約の期間
② 就業の場所・従事する業務の内容
③ 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
④ 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項
⑤ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

有期契約労働者について、会社都合により契約更新がない(契約期間満了による契約終了)の場合、30日前の予告は必要でしょうか?

有期雇用契約が3回以上更新されているか、または、1年を超えて継続している労働者の有期雇用契約を更新しない場合、使用者は、少なくとも雇用契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をする必要があります。

労働者を雇い入れるにあたって誓約書を提出させることは問題ないでしょうか?

誓約書の提出は問題ありません。ただし、内容によっては効力を成さないものがありますので注意が必要です。

業務上の負傷で仕事を休んでいる労働者の復帰のめどが立たない場合、期間満了で終了させてもよいでしょうか?

有期雇用の場合は、契約期間をもって雇用契約が終了することが原則のため、期間満了で終了させても問題はありません。ただし、雇止め法理による制限には注意が必要になります。
なお、無期雇用の場合は、解雇制限(休業期間中とその後30日間)の対象となるため、解雇することはできません。

社員が私傷病の為、休職しています。休職期間が満了しても復帰が困難な場合、退職の扱いをしてもよいでしょうか?

就業規則に休職期間満了後、復帰できない場合、退職となる旨の記載があれば問題ありません。さらに期間の定めがない場合は解雇予告を、有期契約の場合は雇止めの通知を30日前までにすることが勧められます。

社員が窃盗で逮捕されました。懲戒解雇は可能でしょうか?

逮捕された段階では難しいです。罪が確定していないので逮捕の事実のみで懲戒処分はできません。また、懲戒処分が有効とされるにはいくつか条件がありますので慎重な対応が必要になります。

退職した社員から退職証明書の提出を求められました。どのよう内容を証明すればよいでしょうか?

労働基準法で定められている記載事項は以下になります。
使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)
なお、労働者の請求しない事項を記入していはいけないことになっていますのでご注意ください。

退職を申し出た社員が退職日まで有給消化したいと申し出がありました。拒むことはできますか?

退職する社員の場合、拒むことはできません。事情がある場合に事業主が取得時期を変更することはできますが退職する社員は有給休暇を在籍中しか取得できません。よって時期の変更はできない為、質問の場合の有給休暇の取得は拒めません。

外国籍の方を採用する際に何か手続きは必要ですか?

必要です。雇用保険に加入する方は雇用保険資格取得届に在留資格やカードの番号を記載してハローワークに報告が、雇用保険加入しない方は外国人雇用状況届出書をハローワークに提出する必要があります。また、在留資格によっては職種の限定や就労時間の限定もあるので必ず確認しましょう。

2024年4月から労働条件の明示ルールが変わると聞きました。どのような内容でしょうか?

全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時に就業場所・業務の変更の範囲が労働条件明示事項に追加されます。さらに有期労働者には更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。

社員を出向させる場合の注意点はありますか?

出向には籍を置いたままの在籍出向と出向元との雇用契約を解消する転籍出向があります。出向をさせるには就業規則や雇用契約書にその旨の記載があることが必要です。また、不利益な扱いでないこと、特に転籍出向では本人の同意を取ることなどが必要になります。

有期契約労働者について、30日前に解除の通知をすれば期間途中でも解除できますか?

その場合、解雇になります。有期契約は原則期間途中の解除はできません。有期契約の解雇は通常よりもハードルが高いものになります。労働者からも1年以上就業していない場合は解除はできません。

労働者を募集する際に注意点はありますか?

ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、書面の交付によって最低限明示しなければならない労働条件があります。さらに2024年4月には3項目追加されます。

未払い賃金が請求できる消滅時効が変わったと聞きました。どのようになったのでしょうか?

民法改正を受けて労働基準法も改正され、2020年4月1日から消滅時効期間を賃金支払期日から5年(これまでは2年)に延長されましたが、当分の間は3年となります。

試用期間の延長はできますか?

可能です。就業規則に記載がある、合理的な理由がある、社会通念上妥当な期間であるなどの条件を満たせば、認められますがそうでない場合は本採用したと見なされます。

有期雇用契約の期間短縮をする場合どうすればよいですか?

原則労働条件の不利益変更を会社から一方的に行うことはできません。労働者の合意の取得が必須で、合意の取得にあたって十分な説明がされていることは必要になります。

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労働条件(賃金/時間)

社員の給与から貸付金の控除をしてもよいでしょうか?

労働基準法上の賃金全額払いの原則により、賃金からの控除は原則として禁止されています。賃金からの控除を行う場合は、労使協定の締結が必要です。

私傷病で休職している社員に対する賃金の支払いは必要でしょうか?

ノーワークノーペイの原則により支払い義務はありません。ただし、業務上の災害による場合は取扱いが異なります。

有給休暇の5日取得義務について、具体的にいつからいつまでの間に5日間取得させればよいでしょうか?

労働者の有給休暇発生日から、次の有給休暇が発生するまでの「1年間」の間に5日の取得が必要です。
労働基準法では、有給休暇は入社から6ヶ月経過後に付与されますが、その付与日を起算日として1年ごとに付与されます。貴社の有給休暇付与日をご確認ください。

有給休暇を5日取得させる為、会社側から有給休暇の取得日を指定できますか?

取得義務のある5日分は労働者の意見を聴取したうえで、会社が指定することができます。若しくは、就業規則の定め、労使協定を締結することで計画的付与制度を導入することも可能です。

有給休暇の5日取得義務について、前年の繰越分を取得させた場合は、義務を果たしたことになりますか?

義務を果たしたことになります。5日取得については繰越分であるか、当年付与分であるかを問いません。

時間外労働の上限はありますか?

時間外労働の上限は、月間45時間、年間360時間です。
なお、36協定の締結と労働基準監督署への届出が前提となります。
さらに、臨時的な特別の事情がある場合は、以下の範囲内で労働させることが可能です。

・時間外労働が年間720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月間100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」の全てにおいて、1月当たり80時間以内
・時間外労働が月間45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度

この場合も必ず36協定の届出が必要です。

勤務時間の途中に休憩時間を取得できなかった社員がいたので勤務時間の最後に休憩を取得させれば問題ないでしょうか?

勤務時間の最後に休憩を取得させることは認められません。労働基準法上、休憩を労働時間の途中に与えなければならないとされてます。

通常平日就業、土日休みですが月に1回、土曜日を出勤日としています。この日は割増賃金を支払う必要はありますか?

1日8時間、週40時間を超えた場合は割増賃金の支払いが必要になります。変形労働時間制や振替休日の設定等の対応があれば支払わなくてよい場合があります。

宿日直業務を行う場合の注意点はありますか?

労働基準監督署の許可を得ることで労働時間・休憩時間・休日の規定の適用が除外されます。
認可基準は下記になります。
①常態としてほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書または電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可する。
②原則として、通常の労働の継続は許可しない。
③宿直、日直とも相当の手当の支給、宿直については相当の睡眠設備を条件として許可する。
④宿日直手当の基準は、宿直または日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者の1日平均額の3分の1を下らないもの。
⑤一定期間における勤務回数が頻繁にわたるものについては許可しない。
⑥宿直または日直の勤務回数は、宿直勤務については週1回、日直勤務については月1回を限度とする。
⑦所定の始業時刻または終業時刻に密着して行う短時間の断続的労働(例えば、9時~18時の所定労働時間の前後の8時~9時および18時~20時)は、宿直勤務と解されず、また、おおむね4時間未満程度のものは日直とも解されない。

A県に本社があり、そこで採用されB県の支店に異動になった場合、最低賃金はどちらの件のものが適用されますか?

B県の最低賃金が適用されます。実際の就業先事業所の地域のものが適用されます。テレワークする場合も同様です。

懲戒解雇した社員の退職金を不支給とすることは可能でしょうか?

勤続年数や規程の定めにもよりますが直近の裁判例では完全な不支給は認められないことが多いようです。退職金には給与の後払い性質やそれまでの勤務貢献への報酬的意味合いがあるので懲戒事由に該当したとしてもそれまでの会社への貢献が考慮されます。よって就業規則で懲戒解雇の場合は退職金を不支給とする定めではなく、減額できる定めにしておくことが良いかもしれません。

労働時間の集計をする際、15分単位の計算とし、1日の残業時間で15分未満のものを切り捨てることは問題ないでしょうか?

問題です。労働時間の計算は1分単位で行いましょう。1日で15分未満の時間を切り捨てることは問題です。例外として1ヶ月分の残業時間を集計した際に、単数を30分未満を切り捨て,30分以上を切り上げて計算することは可能です。

所定労働時間3時間の労働者が残業をして1日7時間就業した場合は休憩を与える必要はありますか?

質問の場合、45分の休憩を与える必要があります。遅刻や半休を使用した場合でも労働時間が6時間を超えた場合は45分の休憩が必要です。

月毎の勤怠・営業成績に基づいて支払うインセンティブは時間外手当の単価計算に含みますか?

毎月集計して支払う場合は時間外手当の単価計算に含みます。毎月実績を集計して支払いだけ3ヶ月ごとにしている場合も同様です。労働基準法では1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まないとしています。よって3ヶ月ごとの実績を集計して3ヶ月ごとにインセンティブを支払う場合は、時間外手当の単価計算に含めなくてよくなります。

有給休暇の事後申請は認めないのは問題でしょうか?

問題ありません。裁判例では有給休暇の事後申請は法律上成り立たず、事後申請を認めるかどうかは会社の裁量によるとしてます。よって事後申請の取得については就業規則等でルールを定めておくことが良いでしょう。、

有給休暇の買取は問題ないでしょうか?

有給休暇の目的は心身のリフレッシュであるため、原則買取は禁止されています。ただし、一定の条件で認めらてます。その場合は就業規則などでルールを定めておくのが良いでしょう。

課長以上の役職者に時間外手当を支払わないのは問題でしょうか?

問題です。労働基準法では管理監督者には時間外手当の支払いを必要ないとしていますが管理職=管理監督者ではありません。管理監督者の要件は人事採用権や経営への関与、労働時間の決定裁量があるなど条件が厳しくなります。

変形労働時間制を遡って実施することは可能でしょうか?

変形労働時間制は原則労使協定の届出が必要で、労使協定は届出日以後、有効とみなされることがあります。よって遡り対応はできません。なお、1ヶ月単位の場合は就業規則に必要事項の記載があり、届出がされていれば不要です。

36協定の特別条項の回数管理は個人単位で良いのでしょうか?

個人単位になります。通達で「特定の労働者についての特別条項付き協定の適用が1年のうち半分を超えないものとすること」と明示されてます。

社員が副業をした場合、労働時間の管理はどうなりますか?

通算する場合とされない場合があります。通算される場合は時間外の割増賃金の支払いが必要になります。
・原則会社員として給与を受け取る場合、通算されます。
・労働時間が通算されない場合
ア 法が適用されない場合
例)フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等
イ 法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(法第 41 条及び第41 条の2)
農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度

法定休日と法定外休日はどのように決まるのでしょうか?

労働基準法では週1日、もしくは4週に4日の休日を与えなければならないとされており、その日が法定休日になります。就業規則や労働契約で法定休日、所定外休日は指定することが望ましいです。指定がない場合で週休2日の場合は週の起算日からみて後ろの休日が法定休日となります。行政のQ&Aでは週の起算日は日曜日とするとしています。その場合、土日休みとしていた場合、後の休日である土曜日が法定休日とされます。よって週の起算日を含めて就業規則、労働契約に定めることを推奨します。

最低賃金の対象となる賃金は何ですか?

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。
具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。
(1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2) 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
(3) 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
(4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
(5) 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
(6) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

割増賃金に算入しないことができる1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金とはどのようなものですか?

労働基準法施行規則8条により、下記の3種類が掲げられています。
・1ヶ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当
・1ヶ月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当
・ 1ヶ月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給または能率手当

中小企業ですが時間外60時間越えの割増率が50%以上となるのはいつからですか?

2023年4月1日からです。時間外労働が60時間を超えた場合、50パーセント以上の割増率で割増賃金を支払うか代替に有給休暇を付与する必要があります。

時間外労働60時間越えの労働時間を割増率50%以上で支払う代わりに代替休暇を付与した場合、有給を付与したことになりますか?

なりません。労基法上の有給休暇と60時間超えの代替休暇は別になります。

制服へ着替える時間は労働時間に含まれますか?

制服の着用が必須であり、会社のロッカー等で着替えるようにルールが定められている場合は労働時間とみなされます。労働時間は使用者の指揮命令下にある時間とされ、業務性や義務性で判断されます。

1ヶ月単位の変形労働時間制を採用している場合、25%以上の割増賃金の支払いが必要な時間外労働はどうなりますか?

以下になります。
・1日については、8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働させた時間
・1週間については、40時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間を超えて労働させた時間
・対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間

有給休暇の取得には申請に対して会社の許可は必要ですか?

有給休暇は労働者の権利であり、申請すれば当然に取得ができます。会社はあくまで、業務に支障がある場合、時季変更権の行使ができるにとどまります。

労働基準法上の4週4日の休日の確保、変形休日制を採用する場合の手続きはありますか?

就業規則で4週の起算日を定めることが必要です。

育児休業をすることができる有期雇用労働者の範囲はありますか?

子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでない場合になります。また、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可能です。

いつから賃金のデジタル払いが可能になるのでしょうか?

令和5年4月1日から、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を行うことができ、指定を受けた後、以下の手続きが必要です。
各事業場で、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結し、さらに、労働者に賃金のデジタル払いの留意事項を説明をし、賃金のデジタル払いを希望する場合には、労働者から同意書を取得することが必要です。この同意書に記載する支払開始希望時期以降、賃金を資金移動業者の口座に支払うことが可能になります。

社宅の無償提供した場合、その利益分は賃金として扱いますか?

福利厚生として住宅の無償提供をした場合で住宅の提供を受けていないものに対して、一律に言っていい金額を支給していなければ賃金とはみなしません。なお、負担金を徴収するものは、原則として賃金ではないが、その徴収金額が、告示額の3分の1以下であるときは、その差額部分を賃金とみなすとされています。

会社の備品を破損した社員の賃金から弁償費用を控除しても問題ないでしょうか?

一方的に賃金から損害賠償分を控除することはできません。また備品を損壊した場合、罰金10,000円のような定めも禁止されています。また、通常の過失の場合は損害賠償分を全額負担させることも難しいと判断されます。

労働基準法上の非常時払いを社員から求められました。社会保険料の個人負担分を控除して支払っても良いでしょうか?

構いません。非常時払いは出産、疾病など一定の場合、すでに働いた分の給与を請求できるものです。賃金ですので賃金支払いの原則に沿い、社会保険料や源泉所得税を差し引くことはもんだいありません。

時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務とはどんな業務ですか?

以下になります。ただ、2024年4月より、猶予期間の満了を迎え、取扱いが変わります。
・工作物の建設の事業
・自動車運転の業務
・医業に従事する医師
・鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業

休日労働をした場合で1日の法定労働時間(8時間)を超えた場合、さらに割増賃金を加算して支払う必要はありますか?

ありません。ただし、深夜業務の場合は割増賃金の支払いは必要です。

就業規則と異なる条件を個別の雇用契約書で定まることは問題ありますか?

就業規則の条件を上回る条件を個別の雇用契約書で定めることは問題ありませんが、就業規則を下回る労働条件を個別の雇用契約書で定めた場合は就業規則の条件になります。

2024年4月からの専門業務型裁量労働制改正事項は何ですか?

制度の導入にあたって本人同意を得ることと同意の撤回の手続きを定めることが必要になりました。

会社都合の休業をさせた場合、有給の出勤率の扱いはどうしたらよいですか?

有給の出勤率は出勤日数/全労働日の計算になります。使用者の責に帰すべき事由によって休業した日は全労働日から除外されます。

専門業務型裁量労働制を適用している社員が休日労働・深夜労働をした場合は割増賃金は発生しますか?

発生します。裁量労働制は所定労働日に労働した場合は定めたみなし時間働いたと見なしますが休日・深夜割増は適用除外ではありません。

法定休日を任意に定めることはできるか?

可能です。労働基準法の基準、週1回もしくは4週4回を守ったうえで就業規則や雇用契約、36協定などで指定することは可能です。

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各種保険

Wワークしている労働者の社会保険の加入はどうすればよいでしょうか?

社会保険加入条件を満たす場合は加入しなければなりません。資格取得届と同時に被保険者所属選択・二以上事業所勤務届を提出する必要があります。

労働者都合で退職した場合、雇用保険の給付制限はどの程度でしょうか?

令和2年10月以降に離職した場合は、給付制限期間は「2ヶ月」です。ただし、給付制限期間2ヶ月の適用については、5年間のうち「2回まで」であるため、「3回目」の自己都合退職の場合は制限期間が「3ヶ月」になります。

退職する労働者から、離職証明書の離職理由を会社都合にしてほしいと言われました。会社都合に変更しても問題ないでしょうか?

事実と異なる離職理由の記載は、失業保険の不正受給となるおそれがあり、当該事実が発覚した場合は、会社側にも罰則が適用されます。また、会社都合の離職は、助成金を受給するという側面からは不利になります。

私傷病で就業できない労働者(健康保険被保険者)の傷病手当金を申請します。本人負担分の社会保険料を傷病手当金から控除することは可能でしょうか?

傷病手当金から社会保険料の労働者負担相当額を控除することは可能です。対象労働者の同意を得たうえで、傷病手当金の受取代理人を会社にする必要があります。
傷病手当金の申請書には、受取代理人の記入欄がありますので、該当部分に記入をして申請をすると、会社が傷病手当金を受け取り、社会保険料の労働者負担相当額を控除したうえで、労働者の振込口座に振り込むことができます。

Wワークしている労働者が業務上の負傷をした場合、労働者災害保険から休業等をした際に支払われる金額はどうなりますか?

来は事故が起きた勤務先の賃金のみで決定されていましたが令和2年9月1日以降はすべての勤務先の賃金を合算することになりました。

傷病手当金の支給期間が変更されると聞きました。どのように変わりますか?

現行では支給開始から起算して1年6か月を超えない期間支給する仕組みとなっており、1年6か月経過後は、同一の疾病等を事由に支給されません。しかし、令和4年1月から支給期間を通算して1年6か月を経過した時点までは支給されることとなりました。

65以上の社員も雇用保険の加入条件を満たせば加入する必要がありますか?

平成29年1月1日以降65歳以上の方も雇用保険の適用対象となりました。保険料の徴収は、令和2年4月1日からは徴収が必要です。

労災の事実確認ができない状況でスタッフから労災申請書の事業主証明を求められました。記載は必要でしょうか?

別紙で証明書に記載できない理由を記載して提出することができます。

日々雇い入れられる人が社会保険に加入しなければならない場合はどんな時ですか?

1カ月を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となります。
ここでいう1ヶ月は賃金の支払い期間で判断します。つまり、日々の雇用だが賃金の支払期日が1ヶ月単位の場合、調査の際、加入義務を指摘されます。働いた日ごとに賃金を支払っている場合はそれが1ヶ月続けば加入義務が発生します。

雇用保険マルチジョブホルダー制度とは何ですか?

雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の適用対象者の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
適用対象者は下記になります。
1 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
2 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
3 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

産後パパ育休(出生時育児休業)とはどのようなものですか?

育児・介護休業法の改正により創設される制度で令和4年10月1日から施行されます。
男性が子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能になります。

年金事務所より厚生年金保険法第31条及び健康保険法第51条による確認請求があった為、調査の依頼がありました。どのようなものでしょうか?

確認請求とは社会保険に加入対象かどうかの確認を労働者が個人で行政に請求できるものです。年金事務所から必要資料の提出を求められますので期日までに提出しましょう。

雇用保険の料率が年度の途中で変更されます。労働保険料の申告時に注意事項はありますか?

概算保険料の計算時に注意が必要です。具体的には令和4年4月1日から同年9月30日分までの概算保険料額と令和4年10月1日から令和5年3月31日までの概算保険料額を別々に計算する必要があります。ただ、賃金総額の見込みが前年度と比較して1/2以上2倍以下の場合は前年度確定賃金総額と同額を概算賃金総額の見込み額とするので、その場合は前年度の確定賃金総額の1/2の額に、4~9月までの保険料率と,10~3月までの保険料率を乗じて得た額を合算して計算する必要があります。

2022年10月1日から社会保険の被保険者資格の取り扱いが変わると聞きました。どのようになりますか?

現在は、2か月以内の期間を定めて雇用される方は社会保険の適用除外とされていますが、令和4年10月以降は、当初の雇用期間が2か月以内であっても、以下のいずれかに該当する方は雇用期間の当初から社会保険の加入となります。
ア 就業規則、雇用契約書等において、その契約が「更新される旨」、または「更新される場合がある旨」が明示されている場合
イ 同一事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合

夫婦共働きで健康保険に加入している場合、子供はどちらの扶養になりますか?

①年間収入(過去、現時点、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの)が多いほうの被扶養者とする。
②夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
基本的には収入の多い方の扶養となります。夫婦間の収入差が10%以内であれば少ない方の扶養にすることも可能です。

社員が入社月したのと同じ月に退社した場合、社会保険の扱いはどのようになりますか?

同月得喪となり、1ヶ月分の保険料が発生します。ただし、厚生年金保険料はその社員が同じ月に別の会社に入社し、厚生年金の加入手続きをした場合や国民年金の手続きをした場合は保険料の還付があります。給与から控除した分を社員に返還する仏用がありますので注意が必要です。健康保険料は還付はありません。

子供の国民年金保険料を2年分前納した場合、年末調整の控除対象になりますか?

工場の対象になります。具体的には次のいずれかの方法になります。 ①全額を納付した年に控除する方法 ②各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法

学生は厚生年金に加入しなくてよいですか?

学生であっても、適用事業所に使用され4分の3基準を満たす場合は、正社員等と同様に一般被保険者として健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。ただし、短時間労働者の場合は学生は加入要件を満たしません。

日本年金機構からマイナンバー未収録者一覧と個人番号等登録届等が届きました。どのように対応すればよいでしょうか?

マイナンバーの届出は年金機構からの協力依頼になります。社員の方に利用目的を明示の上、収集している場合は協力をしましょう。健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届にマイナンバーを記入した場合、住基ネットから日本年金機構が住民票上の住所を取得することが可能になり、被保険者住所の記載を省略できます。

社会保険の加入が2か月以内の雇用期間であっても就業規則、雇用契約書等において、その契約が「更新される旨」、または「更新される場合がある旨」が明示されている場合は当初から加入が必要でしょうか?

必要です。ただし2月以内 で定められた最初の雇用契約の期間を超えて 使用 しないことにつ いて 労使 双方が 合意
しているときは、 「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」には該当しないこととして 取り扱 い ます。
(※)書面による合意 (メールによる合意も含む。) が必要となります。

定時決定の際に17日以上の支払基礎日数がない場合はどうすればよいか?

従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定します。ただし、短時間就労者の場合は支払基礎日数が15日以上(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)の月で計算します。

育児休業給付金の支給はいつまでですか?

原則は子供が1歳になるまでですが保育園に預けられないなどの事情がある場合は1歳6か月、もしくは2歳まで支給対象になります。あくまで延長は条件に該当する場合になります。

社会保険の手続きで賞与支払届が必要になるのはどのよう場合ですか?

「被保険者賞与支払届」の対象となる賞与は、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものです。なお、年4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象とされ、また、労働の対償とみなされない結婚祝金等は、対象外です。

複数の関連性のない傷病で労務不能となった場合、傷病手当金を受給できる期間はどのような取り扱いとなるのでしょうか。

複数の傷病で同じ期間に傷病手当金の支給が行われる場合は、日額の高い傷病の金額が支給され、 その他の傷病手当金は支給されたものとみなされます。

労災が発生し、労災指定外の病院で受診をしました。そこで治療費を会社が立替払いした場合、どうすればよいか?

宛名が会社名の領収書を取得し、療養の費用請求書申請時に振込口座を会社の口座を記載し、領収書を添付して労基署に申請すれば会社の口座に療養費が振り込まれます。

社会保険の資格取得届でマイナンバーの記入は必須でしょうか?

令和5年9月29日より「厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令」が公布・施行され、個人番号(マイナンバー)、基礎年金番号のいずれも記入がない「健康保険(船員保険)・厚生年金保険被保険者資格取得届」については、返戻されるようになっています。よってマイナンバーの記入は必須ではないですが基礎年金番号かマイナンバーのいずれかを社員に提出求めることになります。

60歳以上の厚生年金の被保険者が退職し、継続して再雇用される場合、どのような手続きが必要ですか。

厚生年金保険等の被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を同時に年金事務所へ提出することにより、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定することができます。

雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更されるのはいつからでしょうか?

令和10年10月1日から適用拡大になります。

育児休業中に一時的に働くことはできますか?

原則は育児・介護休業法上の育児休業は、子の養育を行うために、休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度であり、休業期間中に就労することは想定されていません。しかし、労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することはできます。労働者が自ら事業主の求めに応じ、合意することが必要です。事業主の一方的な指示により就労させることはできません。恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりませんのでご注意ください。

通勤途中で会社の敷地内で転倒した場合は通勤災害になりますか?

会社の敷地内で転倒した場合、業務災害と判断されます。会社の敷地内は事業主の管理下にあるとみなされ、通常業務災害の扱いになります。

労災の待機をカウントする場合、休業初日はいつになりますか?

初診日からになります。所定労働時間内に早退した場合は負傷日が初日となり、所定労働時間後に受診したら負傷日の翌日となります。

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その他

社員からパワハラを受けたと相談が入りました。どう対応したらいいでしょうか?

まずは、本人から丁寧に話を聞きましょう。
そのうえで、相手方や周囲の第三者含め事実の確認をし、会社としての対応をしましょう。相談を放置したり、対応をしない場合、改正労働施策総合推進法の義務違反になります。

社員の就業態度が著しく悪い場合、懲戒処分にできますか?

就業規則に定められた事由に該当する場合は、就業規則で定めた懲戒処分に処することが可能です。
ただし「懲戒解雇」については、他の懲戒処分よりも慎重に行うことが必要です。通常は、懲戒解雇以外の懲戒処分(譴責、降給、出勤停止等)に処した後でなければ、懲戒解雇は懲戒権の濫用となる可能性があります。

労働基準監督署から定期指導の連絡がありました。必ず対応しなければならないのでしょうか?

定期指導を断ることはできません。労働基準監督署から必要書類(出勤簿、賃金台帳、労働者名簿、年次有給休暇管理簿等)の準備の指示がありますので、準備して誠実に対応しましょう。

36協定届における押印・署名が必要なくなったそうですが押印は一切いらないのでしょうか?

36協定届には必要なくなりました。ただし、協定書と届出書を兼用する場合は押印・署名は必要です。

在籍型出向で自社社員を出向させる予定ですが出向先に手数料を請求できますか?

できません。在籍出向を営利目的で実施する場合、労働者供給事業に該当し職業安定法に抵触する恐れがあります。

退職した社員が労働局の紛争調整委員会に斡旋の申請をし、通知が届きました。参加しなければならないのでしょうか?

あっせんの参加は強制ではありません。参加しなかった場合、相手が労働審判や裁判を起こすリスクや相手の申請内容が自社の主張と大きく隔たりがないかなどよく考えた上での対応をお勧めします。なお、あっせんはどちらの主張が正しいかを判断する場ではなく、和解の場になりますので金銭解決になる場合が多数です。

受け入れている派遣社員から妊娠したとの報告を受けました。不測の事態が生じた場合のリスクを考えて、派遣会社(派遣元)に人員の交代を交渉することは問題ないでしょうか?

問題です。男女雇用機会均等法で「妊娠、出産等を理由とする不利益取扱い」は禁止されてます。その不利益取扱の中に「派遣先が派遣の提供を拒むこと」とあり、契約に定められた役務の提供ができるにもかかわらず、交代を求めることは違法です。

障害者雇用促進法において派遣社員は派遣先の雇用率計算に算入できますか?

労働者派遣の場合、雇用契約は派遣元事業主と派遣労働者との間で締結される
ため、派遣労働者(常用労働者である場合に限る)を雇用する派遣元事業主に対
して雇用義務が課せられます。よって派遣先の雇用率には算入されません。

2022年4月の育児・介護休業法改正で実施しなければならないことは何でしょうか?

①育児休業を取得しやすい環境の整備と②本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して個別に制度の周知や取得等の意向の確認をしなければなりません。
①については下記のいずれか
1 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
2 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
3 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
4 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
②については下記の事項を面談、書面交付、FAX、メールで実施しなければなりません。
1 育児休業・産後パパ育休に関する制度
2 育児休業・産後パパ育休の申し出先
3 育児休業給付に関すること
4 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき
社会保険料の取り扱い

アルコールチェックが義務化されたと聞きました。どのような内容でしょうか?

自動車を事業所で使用する場合、令和4年4月からは運転前後の運転者の状態を目視確認する事、その記録を1年間保存することが義務づけられました。
さらに令和4年10月からはアルコール検知器を用いた確認とアルコール検知器を常時有効に保持することが義務付けられています。

公益通報者保護法が2022年6月から改正されるそうですがどのような対応が必要でしょうか?

いくつかありますがその中で従業員の数がも300人を超える事業者は公益通報対応体制の整備と公益通報対応業務従事者(従事者)の指定が義務付けられました。簡潔に言うと公益通報を受け付ける窓口を設置し、通報に対して調査、是正を行う担当者を従事者として指定することが義務付けられました。従業員300人以下の事業者も対応整備に関しては努力義務となってます。ですので窓口の設置や規程、対応マニュアルの整備、社内周知、研修などが必要となります。

2022年10月から職業安定法が改正されるそうですがそのような内容でしょうか?

募集情報等提供の定義が拡大され、4つの類型に整理されます。さらに募集情報等の的確表示や個人情報の保護、苦情処理体制などのルールが法律上に規定され、行政の指導監督の規制も整備し、募集情報等提供事業者に対して改善命令や立ち入り検査等を行うことが可能になり、違反には罰則も適用されます。求人企業には募集情報の的確表示が求められます。

アルコールチェックが義務化が延期されたそうですがどうなりましたか?

最近のアルコール検知器の供給状況等を踏まえ、令和4年の道路交通法施行規則の改正により、当分の間、適用しないこととなりました。

育児休業中は配偶者の扶養に入れますか?

扶養については税金と社会保険で要件等が違います。税金に関しては条件を満たせば配偶者の扶養、いわゆる配偶者控除を受けることが可能です。社会保険の場合、育休中は社会保険寮の免除がありますが配偶者の扶養に入るとそれらは受けられません。

男性労働者の育児休業等取得状況の公表が義務化されたようですがどう対応すればよいですか?

次のいずれかを公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度のものを公表することが必要です。①育児休業等の取得割合②育児休業等と育児目的休暇の取得割合

労働局から従業員から助言の申し出があったと連絡が来ました。どのように対応すればよいでしょうか?

助言とは都道府県労働局長が個別労働紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示唆することにより、紛争当事者による自主的な解決を促進する制度です。なお、この助言・指導は、紛争当事者に対し、一定の措置の実施を強制するものではありません。通常は労働局の職員から電話等で連絡があり、事業主側の認識の確認をされ、話し合いを促されます。前述のように強制力はないので必ずその助言に従わないといけないわけではなく、話し合いをしても従業員の要望を受け入れられない場合は話し合いにも応じることができない回答もできます。

マイナンバーカードで本人確認する場合の留意点はありますか?

法令や条例で定められた手続き以外の事務でも、マイナンバーカード(個人番号カード)を身分証明書として顧客の本人確認を行うことができますが、その場合は、マイナンバーカードの裏面に記載されたマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることはできません。

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(キャムテック東京労務センター)